はじめに
前回は「脳卒中の症状」「運動麻痺」について解説しました。
運動麻痺では神経が傷害される部位によって症状が異なりました。
今回「感覚障害」について解説しますが、感覚障害も運動麻痺同様に傷害される部位によって症状が異なります。
今回は以下の内容について解説していきます。
感覚の種類
感覚にはいくつか種類があります。以下の図をご参照ください。
深部感覚には意識できるものと意識できないものがあります。図では意識できるものを記載しています。
意識できないものとしては、「筋肉の長さ、筋肉にかかる力の情報」などがあります。
温痛覚
表在感覚のひとつで、皮膚や粘膜から感じる感覚です。
温度を感じる温度覚と、痛みを感じる痛覚からなります。
温度覚と痛覚は同じ神経の通り道のため、合わせて温痛覚と呼ばれます
触覚(触圧覚)
触られている感覚を触覚、推されている感覚を圧覚といいます。
圧覚は触覚が持続したものであるため、触覚または触圧覚と呼ばれます。
※触覚は粗大な触覚と識別性触覚にも分かれますが今回は割愛します。
意識できる深部感覚
骨、筋肉、腱、関節などから感じる感覚です。
自分の体の部位がどこにあるかを感じるものが位置覚。
音叉の振動を感じるものが振動覚と呼ばれます。
感覚障害の症状
「感覚の伝道路」で「脳が障害された逆側の感覚障害が出現します」とお伝えしました。
ですが、脳幹が障害された場合は例外があります。代表的な例を以下に示します。
障害部位別の感覚障害
・大脳:障害された部位と反対側の感覚障害が出現する
・脳幹:障害された部位と同側の顔面と反対側の首より下の感覚障害が出現する
・脊髄:障害された部位より下の感覚障害が出現する
・神経根:デルマトームに一致した感覚障害が出現する(※デルマトームについての説明は割愛します)
・末梢神経:体の一箇所の感覚障害が出現する
このように障害を受けた箇所によって感覚障害の出現パターンが異なります。神経の伝道路の違いにより違いが生じてきます。
感覚の伝道路についての理解を深めることで、より理解できるようになると思います。
感覚の伝道路については過去に紹介しておりますので合わせて読んでいただけると幸いです。(感覚の伝道路・脳神経について)
おわりに
今回「感覚障害」について解説してきました。
脳卒中の場合は、大脳の障害か脳幹の障害かで感覚障害が出現する部位が異なります。
また、それ以下の部位での障害ではさらに出現パターンが異なります。
今回は簡単の感覚障害の出現パターンについて解説しましたが、さらに詳しく分類するとまだ出現の仕方が異なります。
特に脊髄が障害された場合は、脊髄のどこが障害されたかによって変わってきます。
このブログでは「脳卒中」についての解説を進めているので、今回はそこまで詳しくしていません。
次回は「構音障害」「失語症」について解説します。