はじめに
前回に引き続き、脳卒中について解説していきます。
前回は、「脳卒中とはなにか」「脳卒中の種類」「脳卒中発症リスクを上げてしまう要素」について取り上げました。 <脳卒中について>
脳は部位によって機能の役割分担を行なっています。そのため、脳卒中の症状を理解していくために、まずは脳の作りなどについて理解していただければと思います。
なので、今回は下記の内容を解説していきます。
脳の構造と機能
脳を構成する部位は気が遠くなるほど多いです。。。
なので、今回はいくつか紹介させていただきます。
脳を半分にして、横から見ている図になります。(矢状面とよばれます)
視床
嗅覚以外の感覚情報を集める中継地点。
※視床もさらに細かく分かれて機能も異なりますがここでは割愛させていただきます。
脳幹
脳幹は、中脳・橋・延髄から構成されます。
生命維持に関与する意識・呼吸・循環を調節しています。
小脳
四肢・体幹の動きの調節や平衡・眼球運動の調節に関わっています。
脳を水平に切って見ている画像です。(水平面と呼ばれます)
大脳基底核
尾状核・被殻・淡蒼球から構成されています。尾状核+被殻=線条体、被殻+淡蒼球=レンズ核と呼ばれています。
運動の調節を行い、スムーズな運動を可能にします。
内包
くの字の形となっており、前から前脚・膝・後脚とよばれる。
後脚には錐体路(皮質脊髄路)が通っています。つまり、脳から運動の指令を伝える道が通っています。
上の図は「ホムンクルス」(英語で「こびと」のこと)と呼びます。
これらは、脳の表面ので感覚や運動を担当する場所を記した図となっています。
※運動野は中心前回、感覚野は中心後回と呼ばれます。
運動野の場合の例
運動野における手の部位→内包後脚→延髄交叉→脊髄→手の筋肉
といったように中心前回の運動野が運動の指令を出す場所となっています。
感覚野の場合の例
感覚受容器(手の皮膚)→脊髄→視床→感覚野における手の部位
といったように中心後回の感覚野は感覚が最終的に行き着く場所となっています。
※感覚は「感覚の種類」によって脊髄の通り方が異なります。詳しくは「次回の感覚の伝道路」にて解説させていただきます。
※感覚神経でも中心後回に行き着かないものもあります。例)視覚など(視覚は後頭葉に行き着きます。)
これ以外にも、まだまだ多くの機能を持った部位もありますが今回はここまでにさせていただきます。
別の部位についてはまたの機会に解説します。
錐体路(皮質脊髄路)について
錐体路とは運動の指令を大脳皮質から脊髄まで伝える伝道路のこと。
錐体路は、大脳皮質と脊髄を繋いでいるため、皮質脊髄路とも呼ばれます。
錐体路は上の図にあるように、延髄の高さで交叉します。(錐体交叉)
そのため、それより上で錐体路が障害を受けた場合は、障害を受けた部位と反対側の麻痺が出現します。
錐体路(皮質脊髄路)は厳密には2つに分かれており、外側皮質脊髄路と前皮質脊髄路があります。
これら二つの違いは下の表をご参照ください。
外側皮質脊髄路 | 前皮質脊髄路 | |
交叉 | 交叉する(錐体交叉) | 大部分は交叉する(脊髄にて) |
走行 | 脊髄側索(外側) | 脊髄前索(前側) |
支配 | 主に四肢 | 体幹 |
おわりに
今回は「脳の構造と機能」「錐体路(皮質脊髄路)」について説明させていただきました。
症状を把握していく上で理解しておいた方が良いものを説明させていただきました。
錐体路について理解しておくと、脳卒中や脊髄損傷にて運動麻痺がどこに出現するかがイメージすることができます。
運動麻痺については、後日解説しますので合わせて読んでいただけると幸いです。
次回は「感覚の伝道路」「脳神経」について説明させていただきます。